読書メーター 「采配」 著:落合博満

野球を題材にした人間心理に関するビジネス書

「オレ流」と称されることの多い独特の言動で、自他共に「嫌われ者」と認める落合博満氏が、日本プロ野球中日ドラゴンズの監督に就任し、考え、行動し、結果を残した過程を綴る一冊。

常識から考えると破天荒ともいえるそれらの「采配」が、どういった思考過程を経て実行に移してきたのかをつまびらかに解説し、それでもなお「他人の考えていることはわからない」と認め、その上で「腹のうちを見せない」ことを武器にしてきた氏の手腕には、大いに得心させられました。

本書はビジネス書の例に漏れず、目次だけで趣旨が理解できたり、要点を太字で強調されたりなどの装丁はされていますが、内容自体には飾り気がなく、ハードSFのように淡々と書き連ねられている文体には、とても好印象を持てました。

より積極的に「嫌われ者」であろうとした落合博満氏に近しい中日ドラゴンズファンよりも、むしろ中日ドラゴンズと一定の距離をおいている野球ファンのほうが楽しく読める一冊かもしれません。